高校1年生との往復メール<4> 03.7.29
川端です。
津高校もI高校も4回戦で負けたみたいですね。ちなみにK先生は僕の津高校野球部の先輩です。
というわけで、質問に答えたいと思いますが、まずその前に。
僕の職業は「雑誌ライター」ではないです。本も書いているし、ネットにも書いています。公式な書類(役所とか税務署とか)の職業欄には「文筆業」または「自由業」と記入します。
「文筆業」というのは、文字通り「ライター」のことですね。作家とか物書きとかジャーナリストとかのことです。
「自由業」というのは、会社員(サラリーマン)でも、公務員や団体職員でも、自営業でもないということ。会社や団体に所属せず、会社を経営しているわけでもないということです。「フリーランス」(略してフリー)という呼び方をすることも多いので、聞いたことがあるかもしれません。「フリーのカメラマン」とか。
つまり、文筆業というのは仕事の内容を表していて、自由業というのは社会的立場を表しているということです。
本当は、「仕事の内容」以前に、この「フリー」であるということの方が僕のような仕事をやっていく上には、重要だし、大変でもあります。
でも、高校1年生ではそのあたりのことはまだ少し難しいかもしれない。だから、ここでは「仕事の内容」の方について主に答えます。
ただ、例えば出版社の社員で原稿を書く人もある意味「ライター」だし、新聞社の社員で記事を書く人もやっぱり「ライター」(ジャーナリストと呼ばれることの方が多いですが)だ、ということは何となく知っておいた方がいいと思います。
では、いただいた質問に返事します。
(1)仕事について
1.1日の仕事時間は平均してどれくらいでしょうか?
僕に限っては「平均」しても意味がないと思います。「0分」の日もあれば、「24時間」という日もあります。ちなみに1週間単位でみても、1週間まるまる仕事らしい仕事をしない週もあれば、ずっと不眠不休で働いている日もあります。
これは僕がさっき前置きした「フリー」だからです。社員であれば、もう少し平均的に仕事をしていると思います。それでも、朝9時から夕方7時まで、なんて規則正しい勤務時間ということはありえないし、土・日曜が休み、なんてわけにはいかないと思いますが。
2.取材などでさまざまな場所へ移動されると思いますが、その範囲はどれくらいでしょうか?(具体的な地名も教え てくだされば幸いです)
最初のメールで「僕のプロフィールがホームページに掲載してある」と書きましたが、見ましたか? そこに僕が取材で行った国は列記してあります。
少し厳しいことを言います。どんな仕事をやるにしても、最低限の予習・復習は絶対必要です。でないと何をやるにしても、大した仕事はできません。
というわけで、これまでに外国は10数カ国、国内はあちこちへ行っています。
3.取材のときは単独で行動なされるのでしょうか?
単独なこともあるし、カメラマンや編集者とチームで動くこともあります。
4.川端さんにとってこの仕事のやりがい、楽しい事、辛い事などはありませんか?
僕は子供の頃から「物書きになりたい」と思っていたので、僕にとってこの仕事は自分がやりたいことだし、好きなことです。だから、根本的にはいつも楽しいです。
もちろん、「楽しいこと」と「楽なこと」は違うので、楽しいことをやるためには、色々と面倒くさいこととか嫌なこととか辛いこともありますが、それは楽しいことをやるためには「込み」だと思っています。
以上は僕の人生観の話。「この職業」ということに限っていえば、生活時間が不規則なこととか、締切のプレッシャーとかは、やっぱり辛いことなのかなあと思います。
5.失礼とは承知の上ですが、収入について教えていただきたのですが・・・ (こちらとしましても重要な項目ですので)
「フリー」ですから(つまり月給をもらっているわけではないのですから)、収入は不規則だし、人によってまちまちです。限りなくゼロに近い人もいるだろうし、何億も稼いでいる人もいます。
ただすべての人にいえるのは、毎年収入が違うということです。去年たくさん稼げても、今年はどうなるかはわかりません。逆に去年ひどくても、今年はたくさん稼げるかもしれない。
ちなみに僕はこの仕事を始めて16年ですが、最初は本当にお金がなかった。東京で一人暮らしだったのですが、飯も食えず、銭湯にも行けないくらいでした。その後、300万円(年収です)くらい稼げるようになり、いままでの最高は1000万円くらいです。
でも、年々上がってきているわけではありません。上がったり、下がったり、色々です。例えば今年はたぶんかなり少なくなりそうです。僕なりに新しいチャレンジをしようと思っていて、これまでとは違うジャンルに飛び込んでみようと考えていたりするので。
いずれにしてもお金が重要な人には、あまり向かない仕事だと思います。
もちろん「社員」になれば、例えば朝日新聞だとか小学館だとか、あとテレビ局などに「就職」すれば、給料はかなり高いです。もちろん、それはフリーライターになるということではなく、会社員になるということですが。
(2)高校のことについて
1.とっておいたほうが有利な資格または検定などはありますか?
特にないと思います。ライターは資格でなるものではないので。
あえて言えば、当たり前のことですが、本をたくさん読むこと、世の中のことに興味をもつこと、人々の営みに関心をもつこと、は大切だと思います。
もちろん文章教室とか、ジャーナリスト学校とかに通って、そこからライターになる人もいますが、「そこへ行ったからなれる」ものではないと思います。逆に言えば、「なりたい人は誰でもなれる」とさえ僕は思います。
2.「雑誌ライター」という職業につくためにはどのような分野の大学へ進学すればよいのでしょうか?
まったく答えようがありません。自分の好きな大学へ行くなり、大学なんて行かないなり、どちらでもいいと思います。高卒の人はたくさんいるし、それどころかご存知の通り、刑務所出身の人だっているのですから。ちなみに僕も大学中退です。
3.私たちが、将来「雑誌ライターになる」と仮定したとして、今から特に力を入れて勉強するべき科目は何でしょうか?(勉強に限らずともしておいたほうがいいことがあれば教えてください)
上と同じで、まったく答えようがありません。
職業を選ぶということは、人生を選ぶということに近いと思います。高校生の間に、自分がどんな人生を生きたいか、どんな人になりたいか、を人に相談するのではなく、自分ひとりでしっかりと深く考えてみることを僕はおススメします。
例えば悩みとか迷いとかあるとは思いますが、それを簡単にメールや電話で人に話さず、自分一人でしっかりと噛み締めてみることです。そうですね。いっぱい悩んだり、迷ったりすることが、将来きっと役に立つと思います。
ちなみに、どの科目を勉強した方がいいか?については、あえて言えば、すべての科目を一生懸命やっておいた方がいいに決まっています。知識や教養はないよりあった方が当然いいので。ただし、それだけではダメということです。
以上が第一回の質問内容です。素人の考えた質問ですが、最初にも言いましたとおり今後の進路決定の参考とさせていただきますのでご返答よろしくお願いします。
では僕からも質問です。
みなさんのお父さん(またはお母さんや保護者)の仕事は何ですか?
何にでもなれるとしたら、みなさんはどんな仕事をしたいですか?
もしもライターになりたいのだとして、それはなぜですか?
