2006年11月


 11月1日(水) 
 映画「いつか読書する日」(緒方明)。田中裕子の無表情が息づいている。「あなたはね、ずっと気持ちを殺してきたのよ。気持ちを殺すって、周りの気持ちも殺すことなのよ」。
 夜中、単行本の原稿書き。途中でクラブ・ワールドカップの取材申請@FIFAのサイト。

 11月2日(木)
 徹夜。午前、サーフィン。午後、就寝。
「はじまりはすべて続きにすぎない」(シンボルスカ)。

 11月3日(金)
 ナビスコカップ決勝・鹿島×千葉@国立。千葉が2対0で完勝。鹿島は柳沢とアレックス・ミネイロが下がってきてくさびになろうとしていたが、千葉には「くさび」という概念はなく、ビルドアップの途中で前線がスペースへ動き出し、そこへ出すか、その動きで空いたスペースへドリブルを仕掛けるか。そんなアクティブなサッカーをしていた。
 試合後、中山くん、佐野さん、それに清水さんとメシ飲み@新宿。いい気分になってしまって…帰りの東海道線、気がついたら平塚。しかも上り(戻り)はもうおしまい。おまけにお金も持ってない。仕方ないから歩いて戻るか…と途中まで歩いて、ようやく気づいてタクシーに。クレジットカードでもタクシー乗れるのだ。そんなこんなで帰宅したときには、すっかり冷めてた。

 11月4日(土)
 昼、サーフィン。出かけるときに上の階の女の子に会ったら「これから図書館に行く」と言ってた。よい。
 芝居「贋作―罪と罰」(野田秀樹)@WOWOW。ドストエフスキーをモチーフに時代設定を江戸時代に変え、葛藤する殺人者を松たか子が好演。
 日本×オーストラリアプレジデント15@CS。ワールドカップ予選直前だというのにスタンドがガラガラだ。この10年ちょっとのラグビーとサッカーの双曲線には溜息が出る。ところでサポーターのみなさんが言っている「スポーツ文化」は本当に“スポーツ”文化なのだろうか。

 11月5日(日)
 徹夜。午前、サーフィン。午後、映画「ザ・ファーム」(主演トム・クルーズ)。夕方から単行本の原稿書き。
 何だか腰を中心に気だるい。おまけに腕に力が入らない。

 11月6日(月)
 昨晩は10時すぎにウトウト始めて、そのまま眠れたので、今朝は6時に目がぱっちり。午前、サーフィン。午後、皮膚科。その後、買物など。
 アジアユース準々決勝・日本2×1サウジ。これでベスト4=ワールドユース出場決定。野洲高校出身、青木の決勝ゴールは心技体、それにシチュエーションも合致した素晴らしい一発だった。

 11月7日(火)
 昼、海へ行くが強風のためNOサーフ。夕方、歯医者。えっ、終わり? 馴染んできてたので妙に寂しかったり。
 自殺予告の手紙が文相に届く。いじめられてるんだか何だか知らないが卑怯である。自殺そのものも卑怯かもしれないが、それぞれに事情も境遇もある。だから溜息をついて僕は黙る。でも、「自殺するぞ」と他人に甘えるのは老若男女を問わず、最悪の行為である。どうせ甘えるなら、ちゃんと自分を晒して、目の前の誰かに甘えればいい。すがりつけばいい。醜態も晒すこともせず、一人で耐えることもせず、命を盾に他者を脅すなんて、最低のズルいやり方である。弱いことは罪ではないが、ズルいのは卑怯だ。誰のものでもなく、君だけの命なのだ。「命」だけは君自身で何とかしなければいけない。

 11月8日(水)
 昼、サーフィン。夕方、映画「影武者」(黒澤明)。風林火山が気になったので。
 夜、単行本の原稿書き。

 11月9日(木)
 昼、サーフィン。午後から単行本の原稿書き。

 11月10日(金)
 午前、映画「バーバー吉野」(萩上直子)。超面白かった。どう面白かったか説明できないくらい、面白かった。昼、サーフィン。午後、原稿書き。
 夜、「追う男」@CS。1985年のNHKドラマ。松田優作と烏丸せつこ。寡黙とハスッパな感じがいい。

 11月11日(土)
 雨。でもサーフィン。かなり立てるようになり、だいぶ横に走れるようになり、時々方向も変えられるようになったので、ちょっと楽しくなってきている。

 11月12日(日)
 昼、サーフィン。夜、福岡出身の2人組シンガー「梅星」のドキュメントを見ながら、頑張るから応援してくれる人が現れる、という当たり前の構図を確認。

 11月13日(月)
 昼、サーフィン。夜、「県庁の星」(桂望実)読了。

 11月14日(火)
 昼、サーフィン。風、強。サイズ、腹上。これまでテイクオフできた波で一番のサイズだったはず。斜めに滑り降りるときに、思わず声が出た。うわーっとか何とか。
 夜、日本U−21×韓国U−21@昌原。どこか聞き覚えが…と思って考えてみたら、僕が初めて一人で行った海外取材の地だった。プサンで一泊してそこからバスに乗って行ったのだ。ずっとキョロキョロしてた。ハングルもゼロだったし、何をどうしていいかさっぱりわからなくて。1996年、アジアカップウィーナーズカップ・蔚山現代×ベルマーレ平塚だった。

 11月15日(水)
 ナンバーの秋月さんから堀越の原稿オファー。嬉しい。ラグビーの取材ができるのも嬉しいし、それが堀越であることも嬉しい。おまけに僕がラグビーやりたいと言っていたのを覚えてくれていたことがまた嬉しい。
 日本×サウジ@札幌@テレビ。「ミスをゼロにしてほしいですね」という実況アナに、解説の原博美が「サッカーではミスはゼロにはならないですね」。名言だった。
 夜中、昔のラグビーのビデオを引っ張り出して見続ける。楽し懐かしい。

 11月16日(木)
 高野進@プロフェッショナル@NHK。「全人的な成長がないとパフォーマンスは上がらない。結局は生き様が形になる」。
 映画「潮風とベーコンサンドとヘミングウェイ」(ランダ・ヘインズ)。老キャストがいずれもチャーミング。人生は儚く、そして愛しいことが一つ一つのシーンから伝わってくる。老いとは手折やかな時の流れなのだ。ロケーションも素晴らしいし、邦題も最高にいい。

 11月17日(金)
 昼、サーフィン。夕方、こたつを出す。
 夜、前に愛子ちゃんからもらったAERA MOOK「あれはロックな春だった」をパラパラとめくっていたら引き込まれる。仕事したいなと思わせる雑誌。作っている人たちが楽しんで、こだわっているのがよくわかる。伊東さんが羨ましい。

 11月18日(土)
 湘南×愛媛@平塚。
 アド街@TV東京で「渋温泉」の特集。20歳の頃、バイクで一人で行った場所。信州へ向かって走り、よくわからないまま辿り着いて、手ぬぐいを買って温泉に入った。熱くてほとんど浸っていられなかった。そういえば誰もいなかったから写真を撮った。あれが僕にとって初めての温泉で、その次に温泉に行けたのは2002年だ。まだ何者でもなく、それでも学生で食うためには悩まなくてすんだ時代だった。その後は食うためと、ポジションをつかむために必死で余裕がなかった。22年前のあのときはヘインズの白Tシャツを着ていた。腕が真っ黒に焼けた。22年後のいまもやっぱり焼けている。俺は元気だ。
 深夜、東京タワー@CXを見ていたら、唐突にコウヨウさんの「花の都」の歌を思い出して、もしかしたらとインターネットで検索してみる。結果、洗濯船のホームページに辿り着き、あれこれ見てたら、なんと今年で30周年!なのだった。上京したての19歳で初めて扉を開けてから10年ほど、いっぱい色んなことを学んだ。学んだというか、体得した。そっか30周年か…。10周年とか、15周年とか行ったような。ホント時は流れたのだなぁ。それにしてもインターネット。便利なだけじゃなく、イタイなあ。

 11月19日(日)
 午前、サーフィン。昼、田中くんが来て鍋@うち。今回は二人きりの鍋。ちょっとさみしい。が、カニ。こないだ日本代表で札幌行ったときに、わざわざ買ってきてくれたのだ。うまかった。二人だけでよかったね、と田中くんと。
 夜、「結婚しよう」(永倉万治)読了。解説を鷺沢萌が書いている。「主人公たちの年齢になったら読み返そう」と。しかし重病に臥した永倉は生還し、鷺沢はすでに亡くなっている。

 11月20日(月)
 昼、サーフィン。晩飯は昨日の鍋の残り。うまい。
 ソウルのトモちゃんこと金智栄からTEL。ソウルからではなく、いつものように東京から。土曜日まで水道橋にいるとのこと。会おうと約束。

 11月21日(火)
 昼、サーフィン。午後、仕事の連絡など。今週は珍しく予定が多い。
 映画「メゾン・ド・ヒミコ」(犬童一心)。ジョゼ…の犬童監督。オダギリジョーがオカマ役。柴咲コウはいつもながらの反抗的で頑固な女の子。素直で可憐な役とか回って来ないのかな。

 11月22日(水)
 立正大ラグビー部@熊谷。今日から堀越の取材スタート。今日は挨拶と練習見学。「はじめまして」の後に「僕もちょっとだけラグビーやってて。GWで…」の一言で信頼してもらえる。クラブチームとはいえGWのステータスの高さはすごい。あと立正大のグランドは人工芝だった。知らなかったのだけど、いまや上位校はどこも人工芝らしい。ということは泥んこのラガーマンとか、ホースで水をかけられる一年生とか、そういう光景はいまや昔ということ。なんだかちょっと淋しいような、と言ったら、堀越も「わかります」とうなずいていた。このあたりは世代。それにしても堀越。やっぱ小さい。小さくて、でも大きい。これから楽しみ。
 夜、嶋と嶋の料理教室に来ている岩崎さんとメシ飲み@渋谷。岩崎さんは高校の家政科の先生。嶋が気を遣って引き合わせてくれた。そして支払いまでして、先に帰って行った。とても後輩とは思えない。とても先輩とは思えない>俺。
 深夜、映画「デイ・アフター・トゥモロー」。「インディペンデンス・デー」のエメリッヒ監督による、温暖化で極地の氷が溶け、洪水が陸地と人間を襲うデザスター・ムービー。水没の象徴は自由の女神。やっぱりアメリカだ。「日本沈没」(昔のやつ)ではたしか金閣寺だった。

 11月23日(木)
 廃止の方向だった「夕張映画祭」が存続することになったらしい。NPO法人を設立して。自治体の財政破綻で撤退が決まっていた文化事業が、NPOで継続するという手法は、Jと自治体にも参考になるのでは。近年の流れだと、どこの自治体が財政危機に直面しても不思議ではないわけで。
 城彰二が引退を発表。せっかくJ1に上がれそうなのに…とやっぱり思わないではないが、とにかく彼が決めたゴールは忘れない。デビューからの連続ゴールも、五輪・フル代表でのゴールも。特にジョホールバルの同点ゴールは絶対忘れない。

 11月24日(金)
 川端理香@ヴェルディ。同姓の川端さんはプロの栄養士さん。
 夜、俊ちゃんセッティングの飲み会@六本木。スーパー楽しかった。この手の飲み会でこれだけ楽しかったのは初めてかも。店の移動もせず5時間くらい飲んでた。中山くん宅で一休みさせてもらって帰宅。

 11月25日(土)
「いじめ問題」でつくづく思うのだが、そもそも友達を作らなければいけないのだろうか。別に「一人」でもいいではないか。何かに熱中していれば寂しさなんて紛れるし、それどころか感じてるヒマだってなくなってしまうわけで。それに何かをやってれば、結果的には仲間とか先輩とか自然にできるわけで。むしろ「友達」を目的にしてしまうからうまくいかないのではないだろうか。だから、みんなと同じとか、みんなと一緒とか、同調圧力が生まれてしまう。そんな同調圧力が「仲間はずれ」を作ってしまう。別に一人でもいいんだ、という選択肢を示してあげた方が、いじめをなくそう=みんな仲良く、なんかより、よっぽど現実的だし、実効的だと思うのだけど。

 11月26日(日)
 関東大学ラグビーリーグ戦・立正大×中央大@上柚木。堀越の取材。小雨降る中、立正大学は敗戦。でもFWで負けるのかと思ってたら、スクラム周りは安定していた。
 帰りにアウトレットモール「ラ・フェット多摩」でコロンビアのダウンコートを購入。
 横浜FCがJ1昇格を決定。城の引退宣言が最後の最後でのガソリンになった面もあるかも。そして三浦文丈も引退を発表。ルーキーのときにインタビューしたことを思い出す。お母さんを楽にするために、と語っていたのが印象的だった。

 11月27日(月)
 大前研一@麹町。共感すること多い。「いじめ自殺した子供の親が学校や先生を責めているが、まったく同情できない。自分で何とかしようと本気で取り組んだのか。仕事があるから仕方ない? それでは子供の命は仕事以下か。仕事を休んででも、辞めてでも、子供を守るのが親じゃないのか」。
 取材後、近所を通ったので、週刊宝石時代の先輩と仲間、山村さんと山崎さんの事務所へ寄って、二人と四方山話。
 夜、GW時代の友達にして現在ラグビーマガジン編集長の田村とメシ飲み@中野。堀越と近年のラグビー界について話を聞こうと思っていたのだが、奥さんと赤ちゃんまで連れてきてしまって、結局ほとんど話せず。正直ちょっと困った。その後、二人でちょっと飲むが、今度は懐かしさと酔いで、やっぱり取材にはならず。はぁ。おまけに終電逃がしてしまい、ブロードウエイのサウナに泊まるはめに。はぁ。

 11月28日(火)
 朝7時、サウナを出て湘南新宿ラインで帰宅。ちなみに昨晩泊まったサウナは、僕が中野在住の学生だったときに毎日通い詰めていたパチンコ屋の階上なのだった。
 帰宅後、携帯サイトの原稿。夕方、サーフィン。

 11月29日(水)
 井川のポスティング権をヤンキースが30億円で落札。松坂の60億もそうだったが、球団経営上このプラスは大きい。Jリーグの場合、「育てて売る」なんて言っても、国内移籍ではここまで大きな金額になる買い手はいないし、海外移籍の場合にはそこまで評価される日本人選手はいないので、やっぱり大きな収入にはならないが、プロ野球はレベルも十分で、おまけにメジャーリーグという買い手があるわけで、まさしく「育てて売る」という経営手法が成り立つのではないか。国内の空洞化とか、そりゃキレイゴトを言えば色々問題はあるのだろうけど、でも背に腹は変えられない事態になったときにはそういう生き方だってあるということだ。
 ちなみに西武は「松坂によって得たお金を球団経営の赤字補填には使わない」なんて言ってたけど、球団はそんなことを言う必要はないし、ファンにもそんなことを言わせる権利なんて、そもそもないのだ。それでは親会社に湯水のように金を注ぎ込め、と言っているのと変わらない。西武も金出してるんだから、もっと堂々としていればいいのだ。

 11月30日(木)
 昼、サーフィン。夕方から、大前研一とアジエルの原稿。